展示風景
「TRANS COMPLEX- 情報技術時代の絵画」

京都芸術センター
2011
撮影 大島拓也
協賛  資生堂 AISHO MIURA ARTS


「アートとサイエンスについてのレクチャー」
池上高志、吉岡洋
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展覧会ステイトメント

1980年代なかば以降、複雑系科学(Complex System)の領域が新たに立ち上がってきました。これは全体論的な認識論を反映しており、要素に還元されない、要素間の相互作用こそが複雑さを創発するカギになっています。
複雑系科学の研究は構成論的アプローチとよばれ、コンピュータによるシミュレートなどの情報技術を用いて、世界の複雑さをとらえようとする方法論です。本来、見ることのできない世界をささえている構造、パターンといった複雑な関係性。それらを、セルオートマトンやカオスといった時間と空間のダイナミクスで視覚化することに成功してきました。
これらの研究によって、人々は、世界を覆っている "透明な複雑さ"にたいする気づき:認識に至ったのです。

本展では、その"透明な複雑さ" という認識や全体論といった背景から生まれた、新たな絵画の方法論を提示します。その主たる方法とは、アートにおける "透明な複雑さ"をまなざし、それを自覚的に導きだす、相互作用を含んだ制作プロセスにあります。『あらかじめ絞り込まれたいくつかの行為とそれらの連動』を特徴としたプロセスへ。アーティストは、創発現象を生みだす機構の内部へと身を投じてゆきます。そして、その行為の連動を関係づける論理が、彦坂敏昭と村山悟郎のそれぞれの「ルール」と「システム」という言葉によって表明されているのです。

一つの行為に還元されない相互作用による"透明な複雑さ" - 「TRANS COMPLEX」
これを基に「絵画の現在形」が起動します。

Installation view
"TRANS COMPLEX - The painting in the Age of Information Technology"

Kyoto Art Centre
2011
photo by Oshima Takuya
supported by Shiseido, AISHO MIURA ARTS